参加作品一覧
参加作品数:127作品/参加者数:127人
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わたしは時折、夢を見る。
怪獣が出る夢だ。
怪獣、とはいっても、太い尻尾や太い腕があって、鋭い牙のある口から火を吐くようなやつじゃない。夢の中に現れるそれは、いつも真っ黒なシルエットで形は持たず、わたしの目の前にただ佇んでいる。その怪獣は何をするでもない。ただ、わたしの目の前に立って、無言を貫くだけだ。
でも、わたしがこの怪獣を恐れているのは、その目だ。
目だけは真っ黒なシルエットの中でもぎらぎらと光り、こちらを見据えているのが分かる。ひどく血走っていて、こちらへの害意を隠さない。
だからわたしはいつも、夢の中で怪獣に謝ってしまう。
ごめんなさい。わたしが悪いの。
なんでわたしが悪いのかなんて分からない。でも、そう言わないと、怪獣の腕が伸びてきてこちらの首を絞め上げてきそうで怖かった。怖いから謝る。ただそれだけのことだ。そのときのわたしは猫を恐れる雀だ。
その怪獣の目が、最後まで頭の奥に残る。
血走った、ナイフみたいに鋭い目が。
残酷な描写あり 藪の中 サイコ
調子の悪い天気に見舞われた今日。
私はクラスメイトから『剥ぎ取りさん』についての、わらべ歌を聞いた。
――歯車回らぬ雨日夜。唐草模様の着物着た、大柄男が傘差して、穴を埋めよと人探す
――傘を廻して、人探す。穴開いた傘を埋めるべく。人探す。顔探す
――剥ぎ取りさん。剥ぎ取りさん。人の顔見て、ほくそ笑む
――人の顔剥ぎ、嘲笑う
妙にそれが耳にこべりついて離れないまま、私は帰宅し。
その日の夕方。私は『剥ぎ取りさん』に遭遇する。
企画モノ初参加です。よろしくおねがいします。
剥ぎ取りさん
ーー私が誰だか、わからないの?ーー
太陽がまた眠る頃。昼と夜の狭間。闇が落ち始めた空の下。木原悠斗は、ひとりの少女と出会う。
家がわからない、迷ったと言う少女を放っておけず、悠斗はとりあえず彼女を連れて帰り道を辿ることに。だが歩いているうちに、悠斗はある異変に気づく。 まだ夕方の住宅街には、まったく人の気配がなかった。
かすかな恐怖を抱き始めた悠斗に、少女は言った。
ーーあなたにしかわからないのに?ーー
生と死の境界がぼやける逢魔が時、人ならざるものが薄闇に紛れてくすりと笑う。
よく見て。知っているはずのその顔。よく聴いて。並んで歩くあの子の足音。ほら。瞳を凝らして。
目の前の少女は……だあれ?
残酷な描写あり 少女 殺人
『紫色の鳥人形は心臓を啄む』
今、夏真っ只中の日本を震撼させる事件が発生していた。
被害者の数は多数に登り、この事件に巻き込まれたとみられる行方不明者も多数いると思われる。
被害者は皆、色褪せて、羽毛は所々抜け、片目が取れた、紫色した鳥の腹話術人形のくちばしで心臓を貫かれていたのだ。 その特徴からこの事件は『紫鳥事件』と呼ばれるようになっていた。
一人の刑事がこの事件を調べていたのだが、彼も同じく被害者となってしまう…
一体、犯人は誰なのか?目的は何なのか?
全ては鳥人形のみぞ知る。
R15 残酷な描写あり 人形 ミステリー パペット 腹話術
あの時私があの洋館に入ってなかったら…。
15歳になったばかりの夏、私は本当の恐怖というものを思い知った。
“メリーさんの洋館”ではないかという疑いがある洋館を見に行くと今まであった鎖などが切られて入れるように…
そしてその洋館で出会ったメアリーという人物…。
メアリーの意味深な言葉の中に隠された謎とは!?
謎の怪奇現象や恐怖の数々!!
自分に残された少ない時間の中、無事に私は乗り切りさらに生き残ることができるのだろうか!?
金村壮一、伊藤雄貴、中村博の三人は大学二回生の夏、下宿先のすぐ目の前にある島にこっそり上陸し、肝試しをする事を思いつく。
船着場にあった遊泳用の手漕ぎボートを拝借して上陸した三人はそこで奇妙な儀式を目撃する。
大きな火を囲んで祈りをささげる人達の頭上に眩い光が空から降りてくる。
驚いた三人が逃げようとした時、物音で儀式をしていた人達気づかれてしまう。
三人は慌ててその場を逃げ出そうとするが・・・
※この小説は「」で括られる会話文が大半を占める対話体小説の形式の作品です。
残酷な描写あり 田舎 対話体小説 短編小説 生放送朗読OK
3年前1台の救急車は原因不明の病に倒れた1人の少女が搬送した。だが救急車は突風により横転して崖に転落した。救急隊員と1人の少女は誰にも発見されることなく崖下の森林の中で絶命した。そして現代群馬大学3年生の鴨池健司とその幼馴染の松本吉江は多くの幽霊が彷徨っているという都市伝説が広まっている森林に肝試し感覚でやってきた。森林を歩いていると迷子という一人の少女に出会った。肝試しを中断して少女を森の入口まで送り届けることにした2人だったが、怨念が彼らの魂を狙っていた。明らかになる3年前の交通事故の真相。はたして彼らは無事に森林を脱出できるのか。
森林 怨念 人柱 幽霊 人魂
会社員の蓼無《たでなし》総一郎は、スマホと携帯電話の二台持ちだ。スマホはプライベート用、そして携帯は仕事の取引先との連絡用と使い分けていた。
ある日仕事用の携帯の方に、彼の実家から4件の留守電メッセージが残されているのに気付く。
そのメッセージとは――。
※夏休みを利用して実家に帰省する方も多くいらっしゃると思いますが、その実家が少しだけ気味が悪いと感じることになるかもしれない――。そんなお話を目指しました。
現代(モダン)
それじゃあ――いただきます。
昔々、ある所に四人家族がいました。
お父さん、お母さん、お兄ちゃん、妹の四人家族でした。
ひょんなことで、お父さんとお母さんがいなくなってしまいました。
お兄ちゃんと妹は、それでも慎ましやかに生活しています。
例えば、私のお兄ちゃんは壊れている。
外見はそうと分からないように。人間として最低限の機能だけ有して、盛大に木っ端みじんに壊れている。壊したのは私じゃないけれど、少しだけ思う所はある。
例えば、私の兄貴は変態だ。
毎朝のように妹になにかしようとして、変態的に『ありがとうございます!』とお礼を言って、私に毎朝のようにちゅーをして、上機嫌に学校に向かう。
例えば、私のお兄様は夢を見る。
まるで自分が生きているような、儚い夢を見ている。
お兄ちゃんは壊れた夢を見る。
そして……私は、とても満たされた、泡沫の夢を見ている。
もっとも、その夢は私たちにだけ優しい夢で。
あなたにとっては――最悪の悪夢でしかないんだろうけど。
・・・冬璃は、母親から邪険に扱われている子どもだった。
人付き合いが苦手な彼女は、学校でもあまり友達がおらず、孤独だった。
特に楽しくもなく過ごす日々の中、冬璃はそれを見た。
自分にしか見えない、少年。
ーーーアイサレテル?
そう問うた少年。
冬璃は答えられなかった。答える言葉がなかった。
もともと不安だったけれど、維持されていた生活。
大きく、ひびが入った。
ーーー・・・愛してくれないんだったら・・・
ーーー殺しても、いいよね?
* * *
去年に続いて2回目の参加になります。
相変わらず、怖くないです。はい。
興味があったら、読んでくださいませ。
愛 そんなに怖くない