参加作品一覧
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雑木林をひたすら、走る。
古木の枝の狭間から見えるのは、雲ひとつない、蒼天。
それが、何故か切なさを誘っている気がするのは……自意識過剰なのだろう。と、おれは思った。
いや、センチメンタリストだったのは、「わたし」の方か。
「わたし」なのか、「おれ」なのか。
もう、どうだって良い。
あの「場所」から逃げる事が出来れば、それで良い。
立ち止まるな。走れ。
捕まるな!!
そんなおれの脳裏に響く、言葉。
(だから、言ったでしょう?)
「プロローグ」より、一部抜粋。
残酷な描写あり 性同一性障害
「カワヲトル……」
来婆市には特に目立った産業も観光名所もなく
もし市外から人が来るとすれば鬼振川目当ての
釣り客がほとんどである
目立たない土地であった来婆市は2012年3月の
”一家惨殺事件”
により脚光を浴びる
そして同年9月来婆市に一家惨殺事件の
唯一の生き残りであり、重要参考人でもある
一家の長女が同市の山中に潜伏しているとの噂が
その報を受け、長女の叔父にあたる警部が動く
一家の長女は何故再び故郷に帰ってきたのか
複数の人間の証言・視点を時系列でまとめ
その真相を解明していきたい
「カワヲトル……」
殺人 川 伏線
「あ、栄子ちゃん?おれおれ◎◎。ひっさしぶりぃ♪」
───翌日、とある女性が自宅で死体として発見された
それは一本の電話から始まった不可解な猟奇殺人
その男の電話を受けた女性から尽く死んでいく
犯人は誰なのか
何の目的で殺すのか
どうやって侵入したのか
────何もわからない。
わかることは、共通するその死様だけ
止まらない止めらないサスペンスホラー
その電話に出てはいけない死神からのラブコール
次に死ぬのはあなただから
「そこにいるのはだれ?」
R15 残酷な描写あり サスペンス 猟奇殺人 最後は…
康哉(こうや)は親父と勝負をしていた。
1年以内に漫画雑誌で受賞を取れば康哉の勝ち。晴れて漫画家への道を歩むことができる。
できなければ負け。実家の工場を継ぐことになる。
父親は小さな町工場の社長をしており、将来は息子に後を継がせるつもりでいた。
しかし、康哉には漫画家になるという夢があった。
口論になるのは必然的。言い争った結果、両者から出された答えがこの勝負だった。
その期限も――あと1ヶ月。
康哉はこの頃からある夢を見るようになった。
突然、目の前に光が広がり、次いでクラクションがうるさく鳴る。
決まって起きるのはクラクションの鳴った直後。
今日も原稿は白い。
――今回こそ受賞できるはずだ。
R15
入居希望ですか。はい、どうぞ。ちょうど一部屋空いていますので。
ええ、部屋の間取りと設備はこちらに書いてある通りとなっています。ええ……ええ、そうです。
はい…………はい、こちらのアパートは敷金と礼金、それに初回の賃料と保険料を含めて、これぐらいの金額となります。
よろしいですか? そうですか。ええ、はい。
ああ、初めて一人暮らしを? それでうちのアパートを?
まあ、それはありがとうございます。不安もあると思いますけれど、でも一人暮らしをすればきっと素敵な経験が出来ると思いますよ。きっと。
そうでしょう。きっと気に入っていただけると思いますよ。
はい。ありがとうございます。
では、さっそくお手続きしましょう。
ダーク 現代(モダン) 大学生 一人暮らし 入居者 アパート 超常現象 視線を感じる
SFホラー短編集「ワールド・エンド・ガールフレンド」。
ぼんやりと眺める景色は、いつもと変わらない物だった。変わりばえの無い日常を送る高校生、ケンジ。ふと気付いた時、彼は見慣れた公園のブランコに座っていた。
見上げると空は暮れかけ、レモン・イエローに染まっている。珍しくも無い光景だ。それが彼にとって特別な色になるとは、ケンジは夢にも思わなかった。
とりとめの無い生活を過ごす高校生の物語「リトル・グッバイ」から始まるSFホラー短編集。ラインのように繋がっていく人の輪の中で、表裏一体の愛と恐怖を描く。
閉じ込められた光の環の中で、人は愛と幻想の狭間を彷徨う。「リトル・グッバイ」の他、表題作「ワールド・エンド・ガールフレンド」、「さよならのタイミング」も収録予定。
恋愛 オカルト 現代(モダン) 少年 少女 ジジイ SF 怖くない
「女性のみ入居可」
このマンションの中で、ただ一室にだけそういう条件がついている。
その意味も理由も考えることなく、僕は男でありながら、やむを得ずその部屋で一カ月暮らすことになった。もちろん格安で。
夜になって床に入る頃、それは現れた。
部屋の中をごろごろと転がる、黒いもの。
壁にぶつかり家具にぶつかり、時折「ぐひゅ」と変な音を発しながら、やがてそれは僕の枕もとに辿り着く。
耳元で声がする。
「あなた……ちがう。あなた……だ、れ。お、おと……こ、いや」
僕は寝たふりを続ける。
「お……き、て。ねえ」
これは夢だと思いこむことにする。
声は続く。
「ね、ねこ……つれて、きて。せなか、かゆいから……ねこ、と……おか、し、もって……き、て」
――この部屋には誰かが、いや何かがいる。
そう思いながら、僕は気を失った。おかげで朝まで熟睡できたらしい。
寝不足とは無縁だった、僕の不思議な夏の物語。
※初のホラーです。あんまり怖くないかも? の予定です。
格安物件 マンション たぶん怖くない
俺は欲求不満だった。
仕事でも、生活でも、独りぼっちだった。いつか、刃物でも持って大暴れしてやるんだと夢――見てた。「初めまして。私の名はドンキー。『ドリームランド』から来ました、よろしくね」……そこには、現実世界に居る俺たちが設計や設定されたものがたくさん居るらしい。彼らは『呼ばれる』まで、出番を待っているのだという。
「あいつらは他人だ。全くの他人。それなのに、何で……」
感情を抑えた声を出すと、彼女は言った。
「殺したいんだ……でしょ?」
――これは、夢じゃなかった。
『彼女の名は、ドンキー』
ある男の悲しい記述。
小説家になろう『夏のホラー2013』企画、参加作品。
久しぶりの執筆です。宜しくお願いします。
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僕は、大学の講義の合間に派遣のアルバイトをしていた。
これはそのときに体験した説明のつかない不気味な出来事についての話だ。
当時も今も、僕はあの出来事について理解することができないし、あの時に感じた寒気に震えることがある。
それほどまでに僕にとって忘れることのできない体験だったのだ。
直射日光に照らされ焼けた鋼鉄で囲まれたコンテナの中。
人どころか虫ですら五分と長居できないような灼熱の空間で、あの光景は誰が作り出したのだろうか。
そして、あの影。
夏の暑い日の異常はいつまでも僕を蝕んでいる…
恐怖体験 コンテナ
神秘的な雰囲気を持つ美人の女主人を目当てに「壺中天」というバーの常連客になった私は、彼女から店名と同じ名の「壺中天」というカクテルを奨められる。
「壺中天」という言葉は中国の故事で、その昔、費長房という男が仙人の持つ壺の中に入り、その中に広がる別天地の楽園で遊んだという話に由来する。
彼女はその壺の中のような「別天地」をこのカクテルで味わえると私に話す。しかし、それは他言無用であるという。
私は怪しみながらもそのカクテルを飲んだ。
世にも奇妙な物語 現代 バー 女性バーテンダー ミステリアス