参加作品一覧
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雑木林をひたすら、走る。
古木の枝の狭間から見えるのは、雲ひとつない、蒼天。
それが、何故か切なさを誘っている気がするのは……自意識過剰なのだろう。と、おれは思った。
いや、センチメンタリストだったのは、「わたし」の方か。
「わたし」なのか、「おれ」なのか。
もう、どうだって良い。
あの「場所」から逃げる事が出来れば、それで良い。
立ち止まるな。走れ。
捕まるな!!
そんなおれの脳裏に響く、言葉。
(だから、言ったでしょう?)
「プロローグ」より、一部抜粋。
残酷な描写あり 性同一性障害
被疑者の人権など無く、拷問で自白を引き出し、そして残虐な処刑方法が公然と行われていた江戸時代。自白がすべてだったゆえに、時として無実の人間が処刑されることも珍しくなかった。
海沿いの刑場で下男として過ごす健蔵は、初めのうちは罪人の叫びが耳に残り、後ろ髪に引かれるような思いで働いていた。だがようやくそれに慣れはじめたある日、親殺しの罪で磔となった町娘・みのの処刑を執り行う。懸命に無実を訴え、槍を突き刺す直前、自分をにらみつけた目が忘れられなかった。そしてその夜、処刑場を片付けていると、みのが語りかけてくる。
「あたしは誰も殺してなんかいない」
だが、役人でもないただの下男である健蔵はみのに言った。
「俺に言ったってどうしょいうもない。おめえがやったっていっちまったらそれまでだろ?」
冷たく言い返した健蔵に、みのはこうつぶやいた。
「あたしにはわかる。これから七日の間に、あんたに焼きつく女が必ず出てくるってね」
そして健蔵は出会う。みのと同じように、無実の罪で殺された女たちに・・・・。
R15 残酷な描写あり
「カワヲトル……」
来婆市には特に目立った産業も観光名所もなく
もし市外から人が来るとすれば鬼振川目当ての
釣り客がほとんどである
目立たない土地であった来婆市は2012年3月の
”一家惨殺事件”
により脚光を浴びる
そして同年9月来婆市に一家惨殺事件の
唯一の生き残りであり、重要参考人でもある
一家の長女が同市の山中に潜伏しているとの噂が
その報を受け、長女の叔父にあたる警部が動く
一家の長女は何故再び故郷に帰ってきたのか
複数の人間の証言・視点を時系列でまとめ
その真相を解明していきたい
「カワヲトル……」
殺人 川 伏線
夜。電気を消してひとつひとつ想像してみてほしい。
半開きのドアの向こう。揺れ動くカーテン。笑顔のピエロ。物音がする押入れ。誰もいない二階。片目がない剥製の眼窩。電源を切ったテレビ。薄暗くなっていく閉店間際のデパート。奥の見えない林。何かをクチャクチャ食べる音。窓の影。自販機の下。天井の端。
何かがいるような……。
それは明るい場所には現れない。恐怖は暗闇に形を得るのだ。
私達は殺した友達を捨てるため、立入禁止の地下工場跡地へと下りていく。暗闇が支配する地下深くへと――。
R15 残酷な描写あり 女子会 グロ クトゥルフ神話 サスペンス
「あ、栄子ちゃん?おれおれ◎◎。ひっさしぶりぃ♪」
───翌日、とある女性が自宅で死体として発見された
それは一本の電話から始まった不可解な猟奇殺人
その男の電話を受けた女性から尽く死んでいく
犯人は誰なのか
何の目的で殺すのか
どうやって侵入したのか
────何もわからない。
わかることは、共通するその死様だけ
止まらない止めらないサスペンスホラー
その電話に出てはいけない死神からのラブコール
次に死ぬのはあなただから
「そこにいるのはだれ?」
R15 残酷な描写あり サスペンス 猟奇殺人 最後は…
康哉(こうや)は親父と勝負をしていた。
1年以内に漫画雑誌で受賞を取れば康哉の勝ち。晴れて漫画家への道を歩むことができる。
できなければ負け。実家の工場を継ぐことになる。
父親は小さな町工場の社長をしており、将来は息子に後を継がせるつもりでいた。
しかし、康哉には漫画家になるという夢があった。
口論になるのは必然的。言い争った結果、両者から出された答えがこの勝負だった。
その期限も――あと1ヶ月。
康哉はこの頃からある夢を見るようになった。
突然、目の前に光が広がり、次いでクラクションがうるさく鳴る。
決まって起きるのはクラクションの鳴った直後。
今日も原稿は白い。
――今回こそ受賞できるはずだ。
R15
近づくと、黒猫は威嚇の声をあげて僕をにらみつけた。
病的に濁った瞳。骨張った身体。逆立つ黒毛には艶がなく、ところどころ禿げあがっている。
さらに一歩近づく。猫は身体を震わせるだけで、逃げようとしない。
ノラ猫。
僕は飼い猫でないことに安堵し、それから、安堵した自分に舌打ちする。
ノラ猫でも飼い猫でも、失われるものに変わりはない。
同じ命だ。
また一歩、近づく。
黒猫は一段と鋭い唸り声をあげる。
でも、それだけ。逃げることはない。
逃げたくても逃げられないのだ。
極度の栄養失調と、病に冒された身体。
けれど、何よりも大きな枷《かせ》となっているのは――
僕は嫌悪と怒りを込めて、それを見る。
痩せこけた黒猫の背中から飛び出ている、ブヨブヨとした白い突起。
突起は親指ぐらいの太さで、先端は丸みを帯び、黒い横筋が幾つも―― ちょうどミミズの腹のように―― 刻まれている。
それは蠢く度に猫の背に埋まっていき、既にほとんどの部分を溶け込ませていた。
ああ、駄目だ。
僕はやるせないため息をつき、距離のなくなった猫の前にかがみこむ。
こうなったら、もう助けられない。
よろしければ、お読みください。
短編
神さまってのは、理不尽だよな?
まあそう思わないっていうなら、それでもいい。
きっと君はあれだろ? 「あの時の○○があったから、今の自分がある」とか、堂々と言えちゃうタイプの人間だろ?
本来は成立しないはずの項目を無理やり因果で縛りつけて、歪な公式を作っちゃう人間なんだろ? だって公式なんだから、それに当てはまらない事例はすべて誤りだってな感じの。
うん。でもまあ、それでもいいんだ。きっとそれは正しいんだから。
希薄な過去とリンクさせ、今を生きるための糧とする。
その理不尽なやり方は、こと生きるという側面に対しては実に理にかなったやり口だ。
それをおれは肯定し、同時に激しく希求する。だって現在進行形でいじめられているおれには、その方法論は適用できないからね。
さっさといじめを過去に、さらには思い出として語れる立派な大人になりたいのだが、なかなかそうはさせてくれない。未だおれにとって、神さまは理不尽なままだった。
そしてそんなある日、おれは一人の女の子と出会うはめになった。
クソそのものの環境で成された、クソのような出会い。吐き気と自嘲のボーイミーツガール。
神さまおれ達に幸あれ。もしくはてめーもここに来い。
人の家を覗くことが趣味な主人公。幼い頃から人のことを観察するのが大好きで、他人のことばかり見ていた。大人になってもそれはやめることが出来ない。今日もいつものように人の家を覗き、自分の家に帰ったのだが、次の日に目が覚めたら目がひとつ増えていた。お腹に出来たその目はただ、まばたきをするだけで害はないようだった。しかし、気が付いたら目はだんだんと増えてきて……。目が増えてくる恐怖、消えることのない目、そんな異常な状態に主人公はおかしくなっていく。
R15 残酷な描写あり
私はある日、通勤途中に電車とホームの隙間に落ちかけた。その時は親切な人に助けられ事なきを得たのだけれど、私はそのときあるものを目撃していた。それは、特に注意して見なければ「たまに見るよね」程度に流しちゃうようなものだったのだけれど、私は気になってしまった。それ以来、毎日それが気になって見るようになり……私はある秘密に気づいてしまう。その秘密を、もしも知らないままでいたら、私は命を失っていたかもしれないほどの。それでもなお、私はその秘密を知りたくはなかった……。
怪談 悲恋 呪い 世にも奇妙な物語